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レビュー:『ザ・レッド』プレザンス・ドーム、エディンバラ・フリンジ ✭✭✭
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markludmon
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マーク・ルドモンが、エディンバラ・フリンジ2019の一環としてプレザンス・ドームで上演中の『The Red』をレビュー。
The Red(プレザンス・ドーム/エディンバラ・フリンジ)
星3つ
コメディアンのマーカス・ブリグストックは昨年、ラジオ劇『The Red』でBBCオーディオ・ドラマ・アワードを受賞しました。自身のアルコール依存症の経験に着想を得た本作は、依存からの回復を目指す男と、ワイン好きの父との関係を描く、胸に迫る二人芝居です。エディンバラ・フリンジで13年間スタンドアップを続けてきたブリグストックが、今回このデビュー戯曲をプレザンス・ドームで舞台化しました。
幕が上がると、41歳のベネディクトが亡き父ジョンの広いワインセラーにひとり。父は亡くなるにあたり、息子に厄介な最期の頼みごとを残していました。25年間断酒を続けてきた息子に、1978年のシャトー・ラフィット・ロートシルトの赤ワインを一杯あけて、自分の思い出に乾杯してほしいというのです——ずっと以前から、親子でいつか一緒に味わうために取っておいた一本で。ベネディクトがどうすべきか逡巡するなか、父はまるで生きているかのように現れ、死の前に交わせたかもしれない会話が始まります。
ブリグストック自身の演出による本作は、ユーモアを散りばめながら、アルコール依存症とは何か——目を覚ますのを待つ「眠れる虎」——を静かに見つめる、やさしくも痛切な対話劇です。ベネディクトの依存とリハビリの経験、そしてそれが父との関係に与えた影響にも触れますが、病がもたらす壊滅的な現実の重みを強く突きつけるところまでは踏み込みません。
舞台版にもう一段の厚みを与えているのが、ベネディクトとジョンを演じるサム・アレクサンダーと、実の父であるブルース・アレクサンダーによる、抑制の効いた確かな二人の芝居です。アレックス・マーカーは、品揃え豊かなワインセラーを細部まで作り込みました。とはいえ、作品が観客の心を動かす力は健在な一方で、この新プロダクションが音声ドラマとしての出自を超えていくための新たな要素は、あまり加わっていない印象です。
上演は2019年8月26日まで
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